誰にも注目されない命

誰にも注目されないような命でも、確かに意識があり、心がある。

腕をつねれば痛いし、大切なモノを失えば心は大きく揺れ動く。

それらは目に映らないことだから、一見誰もが毎日を飄々と生きているように感じるのだけれど、

本当は全然違う。

今日もこの街では、たくさんの人が悩み、精神をすり減らし、今日を生きようと必死に努力した1日だったのだろう。

淡々と通り過ぎていく人達にも、それぞれの暮らしや人生があって、ひとつとして粗末に扱って良い命などは無い。

一見、大した魅力を感じないような人間にも、産みの親がいて、誰もと同じように孤独を感じ、純粋な心を温めている。

一見、何事も無いような人生の中にも、迷いや恐れがあって、心が大きく揺れ動くようなドラマが存在している。

要するに、知らないだけなんだ。

目に映らないから分かり難いだけであって、本当はたくさんの人達の思いが、今日もこの街では渦巻いていた。

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