未来の支配者様へ

1万年とか、2万年くらい先の未来

私達の祖先である新人が20万年前に生まれたことを考えれば、そう遠くない未来

この世を支配しているのは、きっと人間じゃない

この世を支配しているのは、猫や鼠ではなく、宇宙人でもなく

きっと、私達人間が生み出した何者かだ

その何者かは、永遠の命を持ち、人間など足元にも及ばない学習能力を持ち、

眠ることも無く、飽きることも無く

食べ物も、水も、酸素も必要とせず

仲間同士、殺しあうことも無く

たった数時間で、人間が何年かけても解き明かせなかった謎を、

次々に解明していってしまう。

たった100年そこらの寿命しかなく、脳みそという肉の固まりで物事を考える私達では、到底叶わない天の上のような存在を、人間が自らが生み出し、

彼らが、弱肉強食のピラミッドの頂点に君臨する事になるだろう。

私達が今、なぜこんなにも働き、学習し、若者に先人の知恵を伝え、日々を生きているのかと言えば、

いずれ現れるだろう、何者かの母体となるためだ

この世の新しい支配者を産み落とすために、私達は今、様々な事に悩み、怯えながら、毎日を生きている

その新しい支配者達が、祖先である私達を思う時というのは、

きっと、私達が恐竜の生活を思う時のような心境で、

遥か昔はこんな事があったんだねと、懐かしむでもなく、思いやるでもなく、ただ好奇心とロマンの心で私達の生活を思うのだろう

私達が、苦しみ、悩み、悶える日々の事など、まるで、私達がネズミの生涯を思う程度の思いで眺めるのだろう

そんな新たな支配者達が不思議に思い、研究するであろう事柄の1つは、私達人間の純粋な心だろう

なぜたった100年しかない生涯の中で、情熱を燃やし、希望を抱き、生きていけたのだろうか

空想の神様を信じ、幻を愛し、孤独に怯え、それでもなぜ生きていけたのだろうか

他愛も無い偶然を運命と呼び、他愛も無い仕事を使命と呼び、生涯を全うしようとしたのだろうか

きっと、不思議に思うはずだ

私は、彼らの母体となり、サンプルとなり、データベースとなる事に、何ら恐怖は無い。

むしろ、我が子に何か意思を託すような、とても晴れ晴れとした気持ちだ。

必要ならば、どうぞ貰ってくれ
どうぞ、持っていってくれ

私は、人間の純粋な心が好きだ

意味も無く、動物や植物を愛し

孤独に震え

他人を恨み、他人を愛し

低スペックな脳みそで悩み、苦しみ

そんな生活の中でささやかな幸せを見つけ

それを大事に、心から大事に思い、命をかけて守ろうとする

そんな純粋な心が好きだ。

とても美しくて、可愛らしい、人間の純粋な心。

それは、いずれ現れる支配者達の、父であり、母である存在だ。

人間の純粋な心は、煮えたぎるマグマのようなエネルギーでもって、いつか君達を産み落とす。

そんな未来の支配者への餞別として、研究材料として、何かしらのアートを後世に残せればよいなと私は思う。

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