命って何だろう
子供の頃の私は、漠然と、この命には何らか意味があって、これからたくさんのドラマを経験して、この命に与えられた使命のようなものを果たし、満を持してこの世を去るものだと思い込んでいた
しかし、果たしてそれは本当だろうか
私のこの命は、ほんの一瞬の判断ミスによって、いとも簡単に消えてしまう脆い鼓動だ
こんなチープな命に、そんな大それたドラマや、使命が与えられているとは到底思えない
私はただ猛然とこの世に生命を与えられただけで、それ以外は何も用意されていないと思う
それでも私達人間は、何かを信じずには生きていけない
恋人や家族、夢、アート、宗教、友情、愛情、何ならそこらの石コロや、木の枝だって構わない
その対象が本当に信じられるものなのかどうかよりも、自分が心底信じられるかだけが問題だ
なぜならこの世には、本当に信じられるものなど一つも存在しないからだ
今日までに人間は、そういった矛盾を解決すべく、自分達の手で信じやすい対象物や価値観を構築してきた
しかし、そのほとんどは、真実から目を逸らし、事実を有耶無耶にして都合の良い解釈をしたようなものばかりだと思う
そういった考え方が間違いだとは思わないが、少なくとも私は、真実を直視した上で、命の在り方について考えていきたいと思う
誰にすがったりもせず、場合によってはたった一人でこの世を生きていく事も覚悟し、納得のいく生き方をしたいと思う